DATA
建設地:東京都国立市
延床面積:1516.76㎡
用途:学校(体育館)
設計監理:
統括・意匠:川崎修一+竹下久子
(姉川剛・横沢麻子):川崎建築計画事務所
構造設計:稲見賢+斎藤真由美:稲見構造設計事務所
設備設計:星野智之+間宮浩司:星野建築設備設計
音響設計:坂本史江:ビクター音響設計
施 工:
統括:鹿島建設
電気:九電工
設備:新日本空調
舞台:松村電機
橋本舞台機構
工 期:2004.11~2006.02
写真:木田勝久(FOTOTECA
■新しいけど懐かしい体育館
小学校の体育館は、体育の授業の場だけではなく、入学式、卒業式といった晴れの場でもあります。これから多くの子どもたちが、新しい体育館で入学し、卒業していきます。そこで、新しい体育館では、ただ大きな空間を確保するだけではなく、木のぬくもりのある素材などで、温かみのある空間を計画しています。国立学園は大変緑に恵まれた学園であり、その木々の印象を体育館内部に取り入れることで、国立学園らしさを表現し、子どもたちの印象に残るような、将来懐かしく感じてもらえるような体育館を計画しています。
また、しらかば祭などの発表や、合唱にも対応するべく、通常の体育館ではあまり行われない残響時間の検討も行っています。コンサートホールの様にとは行きませんが、そういった表現の場での使用にも配慮した計画となっています。
■環境配慮・エコロジー
太陽光発電、地熱利用冷暖房、雨水の教育的利用など、環境への配慮を設計に取り入れました。同時に子どもたちの目に見える形で、発電量を表示したり、太陽光発電のパネルが見えたり、雨水を手押しポンプでくみ上げて植物のみずやりに利用したりといった方法で、子どもたちの環境教育の題材となるように計画しています。
■設計プロセス
設計の初期段階から、教職員と建築士からなる検討委員会にて、施設の配置、機能、動線、デザインのありかたなどの検討を進めてきました。一般的に設計者のお仕着せになりがちな施設建設を、ユーザーである子どもたちにとって最良である施設とするため、子どもたちの一番近くにいる教員の意見を十分に汲みいれた施設設計となっています。具体的には、年間の行事を全て分析して、子どもたちの動きを研究しプランに反映し、多目的に使用できる部屋を作ることで、夏のプール時の着替えや、委員会活動、保護者の方々にも利用していただける年間計画の中で無駄の無い施設設計となっています。
■建設工程の教育的利用
子どもたちには、1年間音が出たり、使用を制限されたり不便をかけますが、身近で建設工事が行われる絶好の機会でもあります。工事現場が覗ける透明の囲いや、現場見学会や、インターネットによる進捗状況の報告などを検討しています。この1年の不便を逆手にとって、子どもたちにとって勉強の場となるような工事計画としました。